霊園ガイド特集記事|六月書房

霊園ガイドNo.78<発行日:2012年6月15日>より再録

霊園と石材店の正しい選び方 -郊外の霊園と都市型霊園-

みなさんはお墓を建てようとする時、どのような点を重視して霊園や石材店をお選びになるでしょうか。お墓の価格、自宅からの距離、霊園の環境、建立後の維持費……。
お墓を建てる時には、そうしたさまざまな条件を比較検討されることと思います。
しかし、建墓という行為はほとんどの方が一生に一度しか経験しません。つまり、お墓は経験による商品知識を生かすことができない、特殊で高価な買い物なのです。そのために、偏った意見や間違った情報に振り回されることも……。
今回の特集では、霊園と石材店の正しい選び方のポイントについて、詳しく解説します。

すでにお手元に亡くなられた方のご遺骨がある、お墓が必要になる近い将来のために墓所を確保しておきたい、子供に負担を掛けないよう今のうちに自分でお墓を建てたい……。建墓を始めるきっかけは人それぞれですが、その際にみなさまはお墓についての情報をどのように集めておられるでしょうか。

核家族化が進み、近所付き合いも希薄となった今の社会では、建墓についてのあれこれを気軽に誰かと相談できるような環境は少ないでしょう。おそらく多くの方が、インターネットから得られる知識や、お墓について解説した書籍、それに霊園案内のチラシに書かれた情報に頼っておられることと思います。そうした情報の多くには「お墓さがしのポイント」として、次に挙げるような事柄が書かれているはずです。

 「価格・費用(墓石代、墓所使用料、年間管理料)」
 「霊園の立地(交通アクセス)」
 「環境(墓地内および周辺環境)」
 「霊園の諸設備」
 「管理体制」……。


他にも、建墓や法要に際して宗旨・宗派は自由であるか、墓石の施工をお願いする石材店の情報など、チェックするべきことはたくさんあるでしょう。それらの中でも、近年は建墓を希望する方が、便利な場所にお墓を求める傾向が、非常に強くなっているようです。都内の大手石材店が消費者に対して行なったアンケート調査でも、墓地を購入する際に重視する項目として「価格・維持費」と「自宅からの距離」を挙げた方が、それぞれ全体の9割以上もいました。(アンケートの集計方法は、10項目からの複数回答による)

墓地を購入する際に重視する項目(複数回答)

単純に自宅からの距離が近いということに加えて、鉄道の駅から徒歩圏内であること、霊園のすぐそばにバス停がある、というように、公共交通期間でのアクセスが便利であるということも含めて、お墓参りのしやすい霊園に対するニーズが高まっているのです。そうした消費者の動向を反映して、このところ「○○線△△駅から徒歩□分!」「複数の路線の駅から徒歩圏内!」等、最寄り駅から至近であることをセールスポイントにした“駅近”の霊園の開設が増加しています。

よく、お墓を建てることは家を建てることに例えられますが、こうした傾向は霊園さがしに対するニーズが、住宅に対するものと似ていることを端的に表しています。


・お墓をどこにつくるか?

ひとくちに霊園と言っても、その種類やコンセプトは実にバリエーション豊かです。また、各地で新規の霊園開設も相次いでいます。初めてお墓さがしを経験される方は、候補の霊園を絞り込む作業だけでもひと苦労なのではないでしょうか。ここではまず、霊園や墓地をさがす上で知っておいてほしい基本的な知識について、おさらいをしておきます。

お墓を建てようとする時に考えなければならないのは、大きく分けて二点です。それは「お墓をどこにつくるか?」そして「どんなお墓を建てるか?」ということです。前者は墓所使用料や年間管理料に、後者は墓石の購入代金や施工工事の費用と密接に関わってきます。

墓所使用料(永代使用料とも言う)とは、お墓を建立する土地の賃借料のようなものです。土地を賃借する期間などは定められておらず、毎年の管理料を納めていれば、代々その墓所を使用することができます。管理料は霊園の維持管理のために施主が負担するお金で、マンションの共益費のようなものと考えられます。墓石代や工事費用は、お墓の「上物」に掛かるお金です。これらを合計したものが、お墓の購入価格となります。(その他に、開眼供養や納骨に伴うお布施などがありますが、ここでは説明を省きます)

地域別の墓石の平均購入価格お墓の購入価格の相場ですが、墓石の業界団体が行なった最新のアンケート調査によると、全国平均が166万1千円。関東の1都3県(東京都・千葉県・埼玉県・神奈川県)に限ると176万2千円となっています。もちろん、これらの金額は墓所の大きさや、墓石のデザイン、使用する石材の種類によって変わりますが、ひとつの目安にはなるでしょう。

続いて霊園の種類ですが、これは大きく分けて次の三つです。都道府県や市町村などの自治体が経営する「公営霊園」、宗教法人や公益法人が経営主体となって管理・運営されている「民営霊園」、寺院に付属している「寺院墓地」です。この他に、古くからある共同墓地や個人墓地がありますが、これは例外的なものなので、考えなくても良いでしょう。

三種類の霊園・墓地にはそれぞれ特徴があり、「公営霊園」は自治体による経営のため、管理体制がしっかりしています。かつては、墓所使用料と管理料は民営霊園に比べて低く抑えられていましたが、近年は受益者負担という考え方から、一概に割安とは言えなくなっています。墓所使用の申し込み資格については、さまざまな制限が定められており、誰もが自由に応募できるわけではありません。

本誌が情報を掲載する「民営霊園」は、申し込み制限が緩やかで、常に各地で開発が行なわれているため、墓地を求める人々が比較的容易に入手できるという利点がありますが、墓所使用料や年間管理料には各霊園によってかなりの価格幅があるので、注意が必要です。

最後に「寺院墓地」は、寺院の境内や境内の隣接地において寺院によって管理・運営されている墓地で、一般的には墓所使用料や管理料は民営霊園に比べて割高に設定されています。また、墓地を購入する際には寺院の「檀信徒」にならなければならないのが普通です。

建墓をスタートさせるにあたっては、まずこれらの基礎的なポイントを頭の中に入れてから、霊園や石材店についての情報を収集されるのが良いでしょう。
本誌183ページからの「お墓さがし基本講座」では、こうした事柄についてより詳しく解説していますので、参考になさってください。

さて、ここでは最も多くの方が墓石を建立される「民営霊園」における霊園さがしについて解説します。

最近1年間にお墓参りに行った回数は?冒頭で、近年はお参りに便利な場所にお墓がほしいというニーズが高まっていることをご説明しました。そうした声に応えるかたちで、駅から徒歩十数分といったアクセス至便の地における霊園開設が増加していることもご紹介しました。それらの都市型霊園は、気軽にお参りに行くことのできる利便性などが消費者から支持され、一定の人気を得ているようです。

しかし、ここで忘れてはいけない大事なポイントがあります。都市型霊園をお求めになるほとんどの方が理由に挙げる「お参りしやすい」という点についてですが、大手石材店がインターネットリサーチで実施した、アンケート調査で、一年間にお墓参りに行った回数を尋ねたところ、直近の一年間でお墓参りに行ったのが0~2回と答えた方が、全体の約75%を占めたのです。一度もお参りをしなかったという方は約30%もいらっしゃいました。一年間で三回以上お参りをしたという方は、4分の1にも満たない23.2パーセントに過ぎませんでした。これは一体どういうことでしょうか。

この調査結果は、実際にはお墓参りは一年の内にそう何度も行くものではないという実態を明確に表していると言えます。そう聞くと意外な思いを抱かれる方も多いかもしれません。これから建墓を考えている方であれば尚更でしょう。もちろん、頻繁にお参りに行こうという気持ちはとても尊いものですが、ぜひ自分自身のことに置き換えて考えてみてください。本誌を手に取っておられる読者のみなさまも、きっとお参りすべきお墓をお持ちのはずです。それはご両親や祖父母のお墓かもしれませんし、故郷にある先祖代々のお墓かもしれません。みなさんはそれらのお墓に、この一年間で何度お参りに行きましたか?

住宅の隣接地に開発された都市型霊園おそらく多くの方が、春秋のお彼岸やお盆、そしてお正月もしくは故人の命日といった節目の時に1~2度お参りに行かれる程度で、三日にあげずお墓参りをされるという方は少ないはずです。前出のアンケート調査でも、一年間に三回以上お参りに行かれているという方のほとんどは、調査が行なわれた時からごく近い時期に身内や親しい人を亡くされているか、ご自宅のすぐそばの寺院などにお墓があるため、散歩や買い物の際に日常的に墓地へ立ち寄ることができる方であるとのことでした。つまり、駅から近い、アクセスが便利という「近さ」ではなく、生活圏にお墓が含まれていないと、日常の生活を営む中で、そう度々お墓参りに出掛けることは現実的に難しいと言えます。

お参りしやすい場所にお墓があると、いつでもお参りに行けるという安心感を得ることができるのは確かですが、日常の生活圏内に好みの霊園が見つからないのであれば、アクセスの便利さばかりにこだわるのではなく、思い切って郊外の霊園に目を向けることも大切なのではないでしょうか。

郊外に開設された霊園は、お墓参りに時間が掛かることが多いのは事実ですが、一年の間に数回しか出掛けないのであれば、それはさして大きな障害にはならないはずです。それに、郊外地の霊園には街中にある都市型霊園が持たない多くの魅力を有しています。

では、郊外地に開設された霊園と、街中にある都市型霊園には、それぞれどのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか。

まず、都市型霊園にお墓を建てることのメリットとしては、これまでも述べたように、アクセスの便利さが一番に挙げられるでしょう。鉄道の駅から近いということは、車を持たなくてもお参りに行くことが容易ですし、商業施設などがすぐそばにある霊園では、お墓参りを終えた後に買い物を楽しむこともできるでしょう。

弱点としては、街中にあるためにどうしても小規模な霊園が多く、緑地などにも恵まれていない、敷地が限られているため、園内の諸施設(管理棟、礼拝施設など)を簡素化・省略化せざるを得ない、といったことが挙げられます。住宅地の中にある霊園では、開設後数年を経ても、敷地の周囲に霊園開設に反対する看板が掲げられている所も少なくありません。お参りに行く途中にそうしたものを目にするのは、あまり気分の良いものではないはずです。

さらに、防犯のために霊園が定めた開園時間以外は入り口を閉ざして、一切の立ち入りを禁止している霊園が多いのも、都市型霊園ならではの特徴です。お参りに来てみたら霊園の定休日でスタッフも不在だったため、閉じられた門の前で途方に暮れてしまったという施主の方の話も聞いたことがあります。墓所の区画面積は1m2以下が主流となっていて、お墓は納骨棺(カロート)を地上の墓石の下に収める「地上カロートタイプ」が多いようです。

郊外の霊園の利点についてですが、郊外地には昭和30年代後半から50年代のいわゆる“霊園ブーム”に開設されたものが多く、そうした総区画数数万基規模といった大型霊園は、小規模な霊園では味わえない、雄大な環境とおおらかな開放感が人を惹き付ける魅力となっています。周囲が豊かな自然に恵まれている墓所が多く、園内には法要施設やレストラン・休憩所・売店などを完備している割合が高くなっています。開設から年月が経過しているために、設備等が古くなっていることを心配される方もいらっしゃいますが、管理体制がしっかりした霊園が多いため、そうしたものはどんどん新しいものに改装・改修されています。最新の多目的トイレ(バリアフリーの多機能トイレ)を備えた霊園も増えています。

都心から離れているために、多くの場合、お参りへ行くには片道で一時間から一時間半程度の時間を要するのがウィークポイントと言えるでしょうか。墓所の区画面積は1m2より大きなものが主流で、納骨棺を地下に収める「地下カロートタイプ」のお墓が多いようです。

郊外の霊園と都市型霊園の比較

次に価格面の比較ですが、都市型霊園は住宅地や商業地域に近い場所にあるため、どうしても墓所使用料や管理料が割高になります。東京都内にある、いわゆる“駅近”の霊園で、1m2当たりの墓所使用料が100万円以下、年間管理料1万円以下といった条件の霊園を見つけることはかなり難しいはずです。こうした霊園では、墓所使用料に「上物」の費用を加えた時の墓石の購入価格は、ある程度高額になることを覚悟しなければならないでしょう。

首都圏の代表的な郊外型霊園の墓所使用料と年間管理料/東京都内の代表的な都市型霊園の墓所使用料と年間管理料複数の駅から徒歩圏内であることをセールスポイントに謳う、東京23区内の或る都市型霊園で墓所を販売する石材店の営業担当者にお話を伺ったところ、その霊園で1.0m2の墓所に墓石を建立すると、約300万円の建墓費用を要するということでした。

郊外の霊園の墓所使用料は、都市型霊園に比べてとても廉価なものになっています。1m2当たりの墓所使用料は、東京都西部の霊園で約30万円、埼玉県内では20万円以下の墓所も用意されています。郊外の大型霊園では、販売されている墓所の区画面積も2m2・3m2といった大きなものの割合が高くなっていますが、霊園によっては1m2前後の求めやすい価格の区画も用意されているので、建墓費用を抑えたいという方は、そうした小型の墓所が整備された霊園をさがしてみることをおすすめします。

最初に述べたように、郊外の霊園は大型のものが多いので、開設からかなりの年月が経過した霊園でも、まだ墓所に空きがあり、すぐにでも求めることのできるところがほとんどです。具体的な例を挙げると、昭和47年開設の上川霊園(東京都八王子市)では、1.0m2の特別区画を、墓所使用料11万8千円(年間管理料6千円)から購入することが可能です。

郊外の霊園を敬遠する方の大きな理由のひとつとなっている「アクセスが不便」という点についてですが、郊外の霊園では最寄り駅と霊園を往復する無料の送迎バスや、園内の各区画を巡回するワゴンバスなどのサービスが充実しているところも多いため、それらの発着時間さえ事前に把握しておけば、お参りに不便さを感じることはないはずです。

これらのことを踏まえ、霊園さがしの際には広い視野を持ち、「便利な場所」というお題目のような常識に捉われることなく、郊外の霊園が持つ魅力にも目を向けて、よく検討してみるべきです。

霊園さがしとあわせて、良い建墓のために忘れてはならない大切なことが、もうひとつあります。それは石材店選びです。言うまでもなく、お墓は施主が建立するものですが、実際にお墓のデザインや字彫り、施工工事を請け負うのは、各霊園に参加する石材店です。お墓についての知識を豊富に持っているという人は稀なので、デザインのこと、宗教のこと、お墓に使用する石材のことなど、お墓を建てようとする時にはあらゆる面で石材店のサポートを受けなければなりません。

石材店選びで注意しなければならないのは、民営霊園や寺院墓地では墓石の施工を請け負う石材店があらかじめ指定されており、その中からしか業者を選ぶことができないということです。これは一般に「指定石材店制度」と呼ばれるシステムです。指定石材店制度を取り入れている霊園(今ではほとんどの民営霊園でこの制度が採用されています)では、ひとつの霊園に数社から二十数社の石材店の販売担当者が待機しています。そして、霊園見学に訪れた見学者が石材店を指定したり、特定の業者のチラシを持参したりしない限り、霊園側で自動的に担当する石材店を振り分ける仕組みになっているのです。霊園での建墓を希望する施主が気に入った石材店を選ぶのではなく、施主の意思に関係なく担当する石材店が一方的に決定されてしまうシステムなのです。その場合、後から業者を変更することも、業者間で相見積もりを取って比較検討することも認められないのが普通です。

悪質な石材店の施工でお墓を建てることになって嫌な思いをしないためにも、霊園見学の際には霊園に参加している石材店について、情報を収集しておくことが大事でしょう。


・石材店とトラブルにならないために

お墓は高価な買い物で、代々継承していくものです。しかし、お墓はどの石材店で建てても同じというものではなく、また、単純に価格面だけで比較できるものでもありません。建墓後のアフターケアをどれだけしっかり行なってくれるかというのも重要な要素です。後々のことまで安心して任せることのできる、信頼に足る「良い石材店」を選ぶことが、満足できる建墓を実現するための近道であると言えます。

では、良い石材店とはどのような石材店でしょうか。石材店の仕事は「お墓を建てるまで」ではなく、その後も長いお付き合いが続きます。そのため、石材店には何より「永続性」が求められます。永続性がある石材店というのは、長年に亘る信用と実績がある企業のことです。多くの建墓実績がある石材店は、それだけ信頼に足ると言えるでしょう。長くその地域に定着している石材店は、それだけ施主の信頼に見合うだけの仕事をしてきたということだからです。歴史の浅い石材店では、施主のさまざまな要望 にきちんと応えることができるか疑問です。デザインや石種、字彫りや彫刻のことなど、施主の注文に対して協力的ではない石材店もNGです。

最近、霊園数が増加したことや、建墓価格の単価が下落したことにより業者間の競争が激しくなり、強引なセールスを展開する一部の石材店によって消費者がトラブルに巻き込まれるケースが増加しています。大切な人を供養するためのお墓がトラブルの種になってしまっては、施主だけではなく、そこで眠る故人やご先祖さまもきっと悲しむことでしょう。そうしたことにならないためにも、石材店選びは慎重に検討するべきです。

「良い建墓は、良い石材店選びから」ということを、忘れないようにしてください。

改葬の手続きの一般的な流れ(編集部調べ)建墓には、お墓を持たない方が新たにお墓を建てる通常の建墓のほかに、すでにお墓を所有している方が、そこに安置されている遺骨を別の霊園や寺院墓地に移すために墓石を建立する、「改葬」と呼ばれるものがあります。改葬はお墓の引っ越しとも言い、このところこの改葬の件数は増加しています。

改葬が増える原因としては、故郷を離れて都市に生活基盤を築いた人達が、田舎に残してきたお墓の維持管理が困難となり、自分自身が入るべきお墓の建立と合わせて、先祖の遺骨を移すというケースが最も多くなっています。他に、寺院墓地に先祖代々のお墓を所有する人が、お寺との関係維持が難しくなったり、お布施を負担に感じたりしたために、宗教不問の民営霊園にお墓を移すといった事例もあるようです。

改葬を行なうには、まずお墓(遺骨)を移転させる場所(霊園、納骨堂など)を決めて、そこの管理者から「受入証明書」を発行してもらいます。次に、遺骨が埋葬されている墓地の管理者から「埋葬証明書」の発行を受けます。その後、それらの証明書を持って、移転元の墓地が所属する市区町村の役場に「改葬届」を提出し、「改葬許可証」を受け取ります。そして、移転元の墓地に「改葬許可証」を提出して遺骨を取り出し、移転先の墓地へと移します。右の図にそうした手順を分かりやすく示しましたので、参考にしてください。(自治体によって多少の違いがあります)

面倒な手続きを全て代行してくれる石材店も多いので、お墓の引っ越しを検討しておられる方は、信頼できる業者に相談されてみるのが良いでしょう。


・改葬の費用とトラブル

墓の改葬費用の一例改葬を行なうにあたっては、通常の建墓費用に加えて、古いお墓の閉眼供養(魂抜き)と、新しいお墓の開眼供養(魂入れ)のためのお布施が必要です。もし、古いお墓の墓石を利用するのであれば、その運搬費が掛かります。都内の大手石材店の担当者によると、古い石塔(墓碑)をそのまま利用すれば墓石購入費を節減できると考えておられる施主の方がとても多いということですが、墓石の運搬には多額の費用を要するため、新しい墓石を購入する場合と比べて、金額の多寡にそれほど差がないことがほとんどであるということでした。

また、古い墓石が新しくお墓を建てる霊園の形状規定(墓石の高さ制限、石種の制限など)に抵触するために、そのままでは使用できないという事例もあります。
さらに、改葬前の墓地は更地に戻して返還しなければならないので、古い墓石の撤去費用が発生します。これは墓所の広さや墓石の大きさにもよりますが、30万円前後であることが多いようです。

改葬を考えておられる方は、これらの出費が必要であるということを頭に入れた上で、準備をされることをおすすめします。移転元の墓地が寺院のものであれば、お墓を移すのと同時に、そのお寺の檀家を離れるということになるので、お気持ちとしていくらかのお布施を包むことが礼儀でしょう。改葬を進める過程で住職の理解を得ていなかったばかりにお寺とトラブルになり、「離檀料」の名目で高額なお金を請求されたというトラブルも発生しています。

親しかった誰かのために、大切なご先祖様のために、また、将来の自分自身のために……。建墓の理由はさまざまですが、お墓を建てようとする人の心は、とても清らかで尊いものです。

お墓は故人を想い、供養するための場所であるとともに、残された人達にとっては、哀悼や追悼の感情を整理したり、自分の生に感謝したり、故人に対する喜びや悲しみの報告のために手を合わせることができる場所です。お墓という形のあるものを持つことは、心の拠り所を持つことであるとも言えます。

先に述べたように、最近はお墓を鉄道の駅から近い墓地など、お参りに便利な場所に求める風潮が強まっています。そうした声に応え、墓地を供給する側も住宅街や商業地の近くに小型の霊園を開発して販売するケースが増えています。それらは決して悪いことではありません。

しかし、自宅からお墓までの距離が多少離れていることは、それほど不都合なことでしょうか。たとえお墓参りに半日から一日掛かったとしても、それだけ時間を掛ける分、それは心のこもった供養になるとは言えるのではないでしょうか。お墓参りで大切なことは、何回お墓を訪れたかということではなく、どれだけ真心をこめたお参りができるかということなのです。お墓参りをする頻度が高いから、それだけ故人のことを想っている、お墓参りの回数が少ないから、故人のことを想っていない、などとという ことは絶対にありません。それぞれの暮らしの事情の中で、大切な人のことを常に気に留めておいてあげることが、何より大事なのではないでしょうか。

街中にある都市型霊園には、確かにアクセスの便利さや、お墓が近くにあることの安心感を得ることができるといったメリットがあります。しかし、郊外の霊園にも豊かな自然環境や広々とした開放感、しっかりとした諸設備、そして墓所の求めやすさといった、多くの利点があります。霊園をさがす際には、チラシや広告に書かれた派手な宣伝文句や、氾濫する情報に惑わされず、ご自分の目と心で多面的に判断をされることが大切です。

お墓を建てて心の拠り所を得ることは、みなさまの気持ちに平穏を与え、お墓参りをすることは心を清めてくれます。良い建墓を実現することができれば、その心の平穏はきっと大きなものになるはずです。そのために大切なのは、駅からお墓までの距離や、自宅から霊園までの所要時間ばかりではないはずです。故人がゆったりと安心して眠ることのできるお墓を建てることが、最も大事なことのはずです。

今回の特集で取り上げた内容が、これからお墓を建てようと考えておられる方のための一助となり、本誌を手に取っておられる読者のみなさまの建墓が、心から満足できるものとなることを願っています。


お墓の最新事情 -納得できる建墓のために- >>>

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